はんだと南極探検家

久々にはんだの話。

 

共晶はんだはほぼほぼ錫(すず)で出来ているのは以前の記事でも紹介したが、この錫、じつは低温に弱い。とは言っても極低温の状態が長時間続いてでの話だが。このことが南極探検家5人を遭難に追い込んだ事例がある。

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1912年、イギリスの探検家スコットが人類初の南極点到達を目指した。だが結果的に南極点には到達したが、帰還は出来なかった。その原因の一つが「はんだの低温劣化」。燃料を入れていたタンクの口がはんだで接合されており、その部分が南極の極低温状態で破壊された。タンクからは燃料が漏れ熱源を失ったスコット隊は遭難した。

 

今では1%に満たないアンチモンを添加することによりはんだの低温破壊を防ぐことが可能だ。

 

今もはんだによる電気的接合は世の中で多用されている。中には人にとって致命的となり得る箇所にも使用されており、我々生産者はそれを常に心に留めておく必要がある。そのためには既存技術の習得と、最新技術の向上が欠かせないと感じた。